新しい国際的支援の手段が定着しようとしている。ロシアによるウクライナ侵攻後、ウクライナ政府やその支援組織が仮想通貨(暗号資産)で5200万ドル(約60億円)超相当にのぼる寄付を受け取ったことがわかった。
60億円とはどれくらいの金額なのか?
60億円の支援というのは大変大きな金額だということはわかる。ただ国際的にどの程度のインパクトなのかを、あえて単純化して、各国が表明している支援金と比較してみる。※2022年3月3日現在

すぐ目の前で戦争が起きているEUの650億円は破格として、日本の支援(財政支援1億ドル、人道支援1億ドル)の約1/4にまで迫っている。
このように仮想通貨の支援はちょっとした国家レベルの支援になってきていることが分かる。
あえて、ほかの国はあげないが、仮想通貨よりも支援金額の少ない国もある。
もちろんアメリカやEUは武器の供与や軍事支援を指すので、単純な金額の多寡の問題ではない。さらにここには出てこない支援がある。また、国家の役割はそれだけではないことを考えると、単純な比較はいかがなものかという意見もあると思う。
ただ、今後東アジアで同じようなことが起きる可能性があること、さらにそのときどのような支援があり得るか調べることは意味があると思う。あくまで、参考資料として見てもらえればと思う。
仮想通貨支援の意味
今回のように迅速に手を差し伸べる必要がある場合、国境を越えて簡単に相手に支援を届ける仮想通貨の意味は大きい。
ウクライナの首都キエフにある暗号資産取引所のKunaの創業者Michael ChobanianはTwitterで、ウクライナの仮想通貨基金に約36億円集まっていること、さらに別の基金には約20億円が寄せられていると公表した。
また、ELLIPTICの発表によると、支援のうち、ビットコインとイーサリアムで約6.5割を占めている。これに対して、Chobanianは兌換のしやすさから支出手段としてはこの2つが「望ましい」と述べている。

実際にこれらの資金は彼らの手元にあるので、すでに様々なかたちで活用されている。
3月2日、Chobanianは仮想通貨での寄付のうち約1400万ドル相当分はすでに使われたことをツイッターで明らかにした。さらに、仮想通貨情報サイトのコインデスクのインタビューでは、寄付はウクライナの軍などによる装備品や食料、燃料の購入支援に充てられていると説明している。
今後、日本の周りでも紛争が起こる可能性がある。また、自然災害が襲ってくるリスクも高いといわれている。もちろん、まだまだ法定通貨でなければ、役に立たない場面もあるが、仮想通貨を活用した支援の可能性を模索してみるのも必要かもしれない。
出展:
Forbes「ウクライナに仮想通貨で60億円超相当の寄付 軍などの補給に充当」
NHK「米 ウクライナに最大3.5億ドルの軍事支援 対戦車ミサイルなど」
NHK「EUがウクライナに初の兵器供与 支援強」
ELLIPTIC’Live Updates: Ukraine Government Turns to Crypto to Crowdfund Millions of Dollars’
外務省広報資料「日・ウクライナ首脳電話会談」